シンドラーのリスト【シャワーシーン】徹底解説!なぜガス出ない?実話?他

『シンドラーのリスト』シャワーシーン考察

本記事では、ナチス映画『シンドラーのリスト』のシャワーシーンについて、徹底解説・考察していきたいと思います。

なぜシャワーからは、ガスでなく水が出てきたのか?

シンドラーグループの彼女らが無事だったのは実に良かったです。

が、シャワー室=ガス室のイメージがありますから、疑問に残りますよね。

目次

シンドラーのリスト「シャワーシーン」をおさらい

おさらい必要ない!という人はここからジャンプ!

シンドラーのリストによって、シンドラーの保護下にあるブリンリッツの工場に移動になるはずだった、シンドラーグループの女性陣がいます。

しかし手違いがあり、彼女たちはなんとあの悪名高いアウシュヴィッツ収容所へ、誤送されてしまいます。

彼女たちは、『シャワー室』という名の『ガス室』の噂を聞いて知っているので、恐ろしくてたまりません。

アウシュヴィッツに着くと彼女たちは髪を刈られ、服を脱ぎ、恐る恐るシャワー室へと向かいます。

重厚なドアが閉められ、窓もない薄暗い空間に完全に閉じ込められた彼女たちは、いよいよ不安でいっぱいです。

シャワー室の照明が一瞬落ちると、彼女たちはパニックに陥り、叫び声を上げます。

ノズルからは、きっとガスが出てくるに違いない…

彼女たちは固唾をのんでノズルを見守りました。

彼女たちをもてあそぶかのような十分な間があった後で、しかしノズルから出てきたのは、水でした。

彼女たちは安堵し、泣いているのか、笑っているのか分からないような状態で、体を清めるのでした。

シンドラーのリスト「シャワーのシーン」なぜガスは出なかった?

  • 収容所には、シャワーノズルから水が出る本物のシャワー室も存在していたから。
  • 彼女たちは、誤送されたもののシンドラーグループであるということは把握されていたから。

シンドラーグループの彼女たちが、みんなしてガス室送りにならなかったというのは、出来すぎというか、奇跡に思えますよね。

しかしそれには理由があって、彼女たちは、誤送はされたものの、シンドラーグループであることは把握されていたのです。

つまり、オスカー・シンドラーの権威性が働いていたことによって、彼女たちは無事だったのでした。

その証拠に、彼女たちは、ガス室送りにならなかったにも関わらず、囚人ナンバーを刺青されることもありませんでした。

では、なぜ彼女たちは、シンドラーグループであると把握されていながら、誤送されてしまったのでしょうか?

その理由は、彼女たちを乗せた列車には、ブリンリッツ行き以外の女性たちも乗車していた為のようです。

もしかしたら、映画を観た人の中には、強制収容所に本物のシャワー室などない、と思われている人もいるかもしれません。

しかし実際には、本物のシャワー室もありました。

強制労働者として生きることが許された人も皆、ガス室送りになる人と等しく刈られ、シャワーを浴びさせられたのです。

目的は、衣服や毛を織物の材料などとして売り裁きたい、ということと、そしてシラミ対策でした。

シュテルンも、親衛隊を遠ざける為に、シラミにたかられて頭がかゆいフリをして、ボリボリとかいていましたね。

シャワーが出るまでのあの妙な間は何?

いやがらせ的なもの。

シンドラーグループの女性たちがガス室に送り込まれた後、空白の時間がありましたよね。

観ている方としてもハラハラしましたし、ガスではなくシャワーだったときには、本当にホッとしました。

あの間にはいったい何の意味があったの?

ぼくらをハラハラさせる為の演出だったの?

どうやら、答えはノーだ

どの本で読んだのか、
ハッキリとは思い出すことができないですが、
シャワー室で、そういったあえて焦らすといった行為は実際にあったそうです。

つまり、看守は彼女たちが不安でいる時間を楽しんでいたのです。

結果彼女たちはシャワーで喜びをかみしめるわけですから、
不本意にも、少し遊んでしまいたくなる気持ちは分からないでもない、という気がしてしまいますが…

よろしくないですよね。

シンドラーのリスト「シャワーのシーン」は実話なのか?

ほぼ実話と思われる。

映画『シンドラーのリスト』は、小説『シンドラーズ・リスト』を原作としています。

『シンドラーズ・リスト』は、ノンフィクション・ノベルです。

シャワーシーンは、原作では非常にあっさりと描かれていました。

ミーラ・ベファーベルクは、今ではドイツ領内の大部分の囚人が耳にしたことのあるうわさにおびえていた――シャワーの中には、水の代りに殺人ガスが出るとのもあるといううわさである。しかし、ここのシャワーから出てきたのは、ありがたいことに、氷のように冷たいただの水だった。

トマス・キリーニー著磯野宏訳新潮文庫『シンドラーズ・リスト』460p

シャワーノズルから水が出るまでの魔の時間があったかどうかなど、
シャワー室の様子は、原作を読むだけでは分からないですね。

映画『シンドラーのリスト』には、
脚色も目立つもようで、
例えば、映画最後に出てくる囚人みんなでオスカー・シンドラーを盛大に見送るシーン。

あれはフィクション(盛っている)だそうですが、
小説にそのシーンはありまません。
(金歯からつくった金の指輪は贈られています)

どんにゃに脚色しようが、
それがノンフィクションにゃらば、実話に勝るものはにゃいと思うんだが、
皆はどう思う?

シンドラーのリスト「シャワーのシーン」感想

シャワーのシーンは、まさか本当に死なないよなと思いつつ、ドキドキさせられましたね。

水が出てきたときには、感動して号泣。

サブスクで観ましたが、彼女たちが喜ぶシーン観たさに、何度も巻き戻して観てしまいました。

しかしその一方でガスが出てきた人達もいたのだと思うと、むしろそちらの方が多かったろうことを思うと、やるせないですよね。

シンドラーグループの女性たちも、恐らく今ガス室に送られているであろう人々や、ブリンリッツ行きの列車に乗り込む際には、生きてアウシュヴィッツを出られることはないであろう人々のことを、なんともいえぬ表情で見つめていました。

シンドラーのリストその他解説・考察

こちらも併せてチェックしてみて下さい。

参考文献:
書籍『シンドラーズ・リスト : 1200人のユダヤ人を救ったドイツ人』(トマスキニーリー著、幾野宏訳)

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