映画『関心領域』が、
2024年5月23日に日本公開となりました。
映画『関心領域』のあらすじのネタバレや、
起承転結を知りたいという人は多いようで、
サジェストワードにもなっています。
今話題になっている映画なので、どんな映画なのか、気になりますよね。
管理人も『関心領域』は公開前から気になって目を付けていたので、公開初日に観てきました。
このページには、『関心領域』のあらすじ、起承転結を、ネタバレありの考察付きで書き起こしてみました。
気になる!という方、最後までぜひご覧下さい。
映画『関心領域』の起承転結(あらすじ)を簡単にネタバレ解説!
ヘス一家は、裕福で、何一つ不自由ないような暮らしをしている。
彼らは、壁の向こう側にあるウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所についてはまるで無関心である。
とある少女は、アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所で強制労働させられている人々を救う為に、彼らの勤務地にりんごを忍ばせている。
ルドルフ・ヘスは、アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所で罪のない人々を虐殺することの指揮を執り続ける。
起承転結を簡潔に表したら、
以上のようになりました。
これを更にもっと簡潔に一言で述べると、
(起)アウシュヴィッツのお屋敷に住む父親、
(承)ルドルフ・ヘスは強制収容所の所長、
(転)少女はユダヤ人をりんごで生かし、
(結)ルドルフ・ヘスはユダヤ人を無関心に殺す
となります。
簡潔なのは良いですが、
あらすじとしては物足りなさが残りますよね。
次の見出しでは、もっと詳しく解説するにゃん
映画『関心領域』の起承転結(あらすじ)を考察付きで詳しくネタバレ解説!
『関心領域』起承転結【起】のあらすじ
ヘス一家は、広い庭付きの豪邸に、複数の使用人と共に、住んでいる。
彼ら家族は、何不自由なく、幸せに暮らしているようだ。
映画『関心領域』は、
家族が川沿いでピクニックしているところから始まります。
5人の子供がいて、
その内ひとりは赤ちゃんです。
彼らは広い庭が付いた立派なお屋敷に住んでいます。
母親は、庭で赤ちゃんと花を愛で、
使用人には、服を一人一枚ずつ気前よくプレゼントします。
父親の誕生日には、
家族が父親に、手作りのボートをサプライズでプレゼントします。
父親は管理職に就いており、
部下からも慕われています。
ヘス家は、誰もが憧れるような完璧な家族で、
完璧な暮らしを手に入れていました。
『関心領域』起承転結【承】のあらすじ
ヘス一家の壁の向こう側には、アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所がある。
ルドルフ・ヘス(父親)は、強制収容所の所長だった。
しかし彼ら家族は、強制収容所などまるでそこに存在しないかのように、平和そうに過ごしている。
ルドルフの転属が決まるも、妻が今の家や土地が気に入っていて離れたくないと激昂したので、ルドルフは単身赴任し、妻子は残ることとなった。
一見幸せそうに見えたヘス一家だったが、
家族ひとりひとりがそれぞれに問題を抱えていた。
視聴者は、
少しずつ、
“何かがおかしい”という違和感を覚え始めることになります。
ヘス家の壁の向こうにあるのは、
アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所で、
父親は、そこの所長でした。
ヘス一家の豊かな暮らしは、
ユダヤ人の犠牲の上に成り立っていたのです。
母親が何食わぬ顔で使用人に与えていた服も、
本当はユダヤ人のものでした。
ヘス一家は、
強制収容所から四六時中聞こえてくる悲痛な叫び声など、
まるで気にしていない様子で過ごしています。
一見幸せそうに見えたヘス一家も、
しかしそれぞれが問題を抱えていました。
母親は、設計から手掛けたという自宅の庭や、ずっと憧れていた自然豊かな田舎での暮らしに執着してしまっており、夫よりも子供よりもそっちを優先にして物事を考えてしまっている。
使用人には辛く当たる。
父親は、たとえ目の前で強制収容者が虐待されていても、まるで心ここにあらず。
彼らの遺体をどうやったら効率よくさばくことができるかを考えている。
また、愛人をつくっている。
息子たちは戦争ごっこにハマり、
ガス室の音真似をする。
3番目の娘はストレスからか、
夢遊病になってしまっている。
『関心領域』起承転結【転】のあらすじ
とある少女が、
アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所で強制労働させられている人々を飢餓から救う為の行動をしている。
少女は、
夜な夜な彼らの勤務地に忍び込んでは、
彼らが翌朝見つけることができるようなところに、りんごを配置していく。
この少女の正体は、レジスタンス運動をしているポーランド人でした。
彼女の存在は、この映画、そして視聴者にとっての光です。
この少女のシーンは実話で、
この少女も実在します。
りんごの少女についてもっと詳しく知りたいという方はこちらから
『関心領域』起承転結【結】のあらすじ
ルドルフが、赴任先から、家族の元へ帰れることになった。
浮かれるルドルフだったが、その後、嘔吐してしまう。
彼を待ち受けているのは、天国か、それとも地獄か―――。
ルドルフは、単身赴任先から家族が待つアウシュヴィッツの家に帰られることが決まると、
大喜びで妻に電話してそれを知らせます。
普段はポーカーフェイスなルドルフが、
映画の中で最も感情を露わに喜んでいたのが、このシーンでした。
しかしルドルフはその後、
何があったか、立て続けに嘔吐してしまいます。
ルドルフは、
神妙な面持ちのまま、
廊下を歩いて暗闇の中へと消えていきました。
とてもハッピーエンドとは言い難い雰囲気で、物語は幕を閉じました。
夫婦仲が実は冷めていた?(ちょっと余談)
ルドルフが、「家に帰れることになった」と妻に告げるシーン。
夫婦間に温度差が生じていたように感じて、違和感を覚えました。
そのときは(もっと喜んであげて!)と思いましたが、
後になって考えるとその反応は、
妥当だったようです。
妻はどうやら、夫の浮気に気付いていたようなんですよね。
夫に対する愛情が希薄であったとしても、文句は言えません。
そもそも妻は夫と暮らすことよりも、
離れて暮らすことを望んでアウシュヴィッツに残っています。
「私はここに残るので、私を連れていきたいのなら、引きずって連れていって」とまで言っていたのです。
その時点で、夫<アウシュヴィッツだということが分かります。(夫より、庭や自然環境の方に支えられている)
その後で「あなたと離れるのが寂しい」と口にされても、
白々しいとしか思えませんよね。
ルドルフが「君と子供たちだけでアウシュヴィッツの家に残れないか上に掛け合ってみる」と言った後だったので、
それにを良くしたようにしか、思えませんでした。
それでなくとも妻は、夫が単身赴任している間も子供達とは一緒に暮らしていましたから、
夫のようには寂しい思いをしてなかったことは、確かでしょうね。
そして、妻は妻で将校と不倫関係にあったという説もあります。(原作小説より。原作小説は実話とフィクションが入り交じっているという)
ルドルフの不倫内容や浮気相手について詳しく知りたい方はこちら
起承転結とは(関心領域をあの有名な俗謡になぞらえてみる)
最後に、
“そもそも起承転結とは何なのか?”
ということについておさらいして、終わりたいと思います。
小学館デジタル大辞泉は、”起承転結”について、次のように解説しています。
漢詩、特に絶句の構成法。第1句の起句で詩意を言い起こし、第2句の承句でそれを受け、第3句の転句で素材を転じて発展させ、第4句の結句で全体を結ぶ。起承転合。
小学館 デジタル大辞泉
チンプンカンプンですね。
辞書ってむずかしい…
そこで、
起承転結を説明するのによく用いられるのが、
次の俗謡です。
(起)京都三条の糸屋の娘、
(承)姉は十六、妹は十四、
(転)諸国諸大名は弓矢で殺す、
(結)糸屋の娘は目で殺す
(姉妹の年齢は18と15になったりします)
とても分かりやすいですよね。
これになぞらえて、
『関心領域』の起承転結も書き起こしてみました。
(起)アウシュヴィッツのお屋敷に住む父親、
(承)ルドルフ・ヘスは強制収容所の所長、
(転)少女はユダヤ人をりんごで生かし、
(結)ルドルフ・ヘスはユダヤ人を無関心に殺す
そうです、これが、
ページの冒頭でも紹介した起承転結だったんですね。
あらすじというには短いですが、
やはりとても分かりやすいですよね。
囚人をりんごで生かした少女や、謎の楽譜を作曲者についてはこちら
あとがき
映画『関心領域』のあらすじを起承転結で書き起こしてまいりましたが、
いかがでしたでしょうか。
あらすじは起承転結で考えた方が、
どんな話だったのか、
何が伝えたかったのか、
全体のストーリーがスッと頭に入ってくるような感じがしますね。
ストーリーをよく理解しないままに観終えてしまうと、
『関心領域』は、「退屈なホームドラマだった」で終わってしまいかねません。
それは、非常にもったいないことですよね。
映画『関心領域』は、眠くなっている暇などないような、刺激的な物語です。
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