関心領域(解説)【川のシーン】これが実話ってホラー映画かよ

関心領域(解説)【川のシーン】これが実話ってホラー映画かよ

2024年5月23日に日本で公開された映画『関心領域』が話題です。

まっさらな状態で観ると、
理解できない描写も多く、
意味の分からない退屈な映画だと感じるかもしれません。

『関心領域』は、考察のしがいがあるということも、
この映画が話題となっている理由のひとつではないでしょうか。

本記事では、
ズバリ「川のシーン」について徹底解説していきたいと思います。

例の川のシーンでは、いったい、何が起こっていたのでしょうか?

\読んでスッキリ/

・川が突然黒くなった理由は?

・なぜ父親は慌てていたの?

・なぜ親子は必至に体を洗っていたの?

・実話、て本当?

⚠️意味が分かるとホラー映画よりも怖いと話題ですので、ご注意を…

目次

『関心領域』の川のシーンで何があったかを解説(⚠️実話・ホラー注意)


まずは結論から。

川が突然黒くなった理由

それは、
アウシュヴィッツ強制収容所で虐殺された人々の遺灰が、流されてきた為でした。

だから父親は動揺を隠せない様子で、川から子供たちを引き揚げさせると、体を念入りに洗っていたのです。

川には、遺灰と一緒に、白骨も流されてきていました。

父親はその白骨を手にしたことで、今何が起こっているのか、状況を理解したのですね。

すると父親は動揺し、大慌てで、川で遊んでいた子供たちを川辺へと引き揚げさせます。

灰が目に入って、視力が落ちでもしたら、大変だから…?

いいえ、違いますよね。

これはあくまで想像でしかないですが、父親がその時異様に取り乱した理由は、
おぞましい、という感情や、
そのようなおぞましい事実を、子供たちに知られたくない、という感情があったからではないでしょうか。

にゃんだか滑稽だにゃ、あんたが指揮を執っている現場で行にゃわれていることだろうに!

そもそもなぜ川に遺灰が流れてきたの?

そもそも川に遺灰が流されてきた理由ですが、

これは、アウシュヴィッツ強制収容所では、遺灰を近隣の川に流すことで、遺体を効率良く処理していた為です。

そもそもなぜ土葬ではなく火葬にしたの?

①悪臭を防ぐ

土葬だと、悪臭がものすごかったそうです。

その臭いのあまりの強烈さに、
一度埋めたものを、また掘り返してまで、火葬することもしたそうです。

②犯罪の痕跡を防ぐ

焼却して残った骨は、
大量虐殺の痕跡を隠したいという思いから、
粉砕機で砕いて灰にしたそうです。

一応は、うしろめたいことをしているという自覚があったのですね。

そもそも火葬はダメ

被害者たちユダヤ人はキリスト教徒です。

キリスト教では、土葬が主流となっています。

なぜなら彼らは死後肉体を持って復活し、天国に行く為です。

ドイツ人も、半分以上がキリスト教徒だといわれていますが、ナチスは、死者が死後復活するのに肉体がどれだけ大事かという点において、被害者と同じ価値観を持ちながら、肉体を焼却し続けていたというわけです。

お前らにゃんか、復活しにゃくていいってか?
自分さえよければ、良いみたいゃ軍団だにゃん!

そうでもにゃいと、ホロコーストにゃど起こらにゃいか…

遊んでいると「川が一気に黒くなった」は実話

というわけで、ナチスが川に遺灰を流して処理していたというのは、史実ですが、
ヘス親子が川遊びをしていると川が一気に黒くなったというのもまた実話です。

ヘス家の次女(上から3番目)は、インゲブリギット・へスさんといいますが、インゲブリギットは2015年(81歳)、取材に次のように答えていました。▼

ソラ川が一気に黒くなりました強制収容所で虐殺され、火葬されたユダヤ人の灰を川に流したからです」

引用元:Yahoo!ニュース

上記のコメントが全てで、
父親がそのことで動揺していたとか、
その後念入りに体を洗わされたとか、
そこまでの話はありません。

しかし『関心領域』を手掛けたジョナサン・グレイザー監督は、
同作を制作するのに10年、
そして彼らを調査するのに2年を費やしたということですから、
実際も大体そのような感じだったのではないか、と思います。

因みに、作中には、次女が夢遊病を発症している描写もありましたが、それも実話です。

(夢遊病を発症する原因は分かっていないということですが、昼間のストレスや、興奮を伴う体験がきっかけとなる場合もあるそうです。⦅かわかみ整形外科・小児科クリニックより⦆)

次女は2015年(81歳)の時点で、うつ病とがんを患っていました。

現在もご存命であれば、90歳くらいという計算になります。

ホロコーストは、まだまだ最近の出来事なのだとも感じますね。

ヘス一家のその後や家系図はこちら

『関心領域』で庭師が庭にまいていたものは何だったかを解説(⚠️実話・ホラー注意)

ついでに・・・

映画『関心領域』でヘス家の庭師が庭にまいていたのも、実は遺灰でした。

このシーンの前には、ヘドヴィヒ・ヘス(母親)が使用人の女性に対して、

夫があなたを灰にして辺り一面まき散らすから

と脅す怖いシーンがあります。

その後、場面は切り替わり、庭師の男性が肥料をまくシーンが映るのですが…
肥料をまかれた後の土が、意味ありげにアップされます。

まるで、
この肥料の正体は実は遺灰なんだよ。気付いて
といわんばかりに。

まさか、本当に先程の女性の使用人を灰にしてしまったのでしょうか。

そんなことはないと思いますが、それにしてもホラーがすぎますよね。

ジョークのようですが、壁の向こう側ではそれが現実問題として起こっていて、しかもそれはノンフィクションだというのです。

ナチスは、ユダヤ人から全てを取り上げました。

人権に始まり、衣類や宝石、金歯や髪の毛、皮膚、これらだけでも十分だというのに、まさか骨まで、奴らの庭の養分にされるとは。
(骨の髄までしゃぶりつかれるというのは、まさにこのことだと思わされます)

これがホラーフィクションにゃら、こう思ってる気がするよ。

ただ思い付く限り、雑に残酷にゃことやってるだけじゃねえか!
ってね

髪の毛はマットレスに、
皮膚はバッグなどに加工されたといいます。

『関心領域』でも、ヘス家に衣服や(歯磨き粉の中に隠された)歯磨き粉や金歯が登場しますね。

それらは、彼らが強制収容所に輸送される際に、ナチスより、
「移住するだけなので、多少の荷物は持ち込んで良い」
と言われて(騙されて)、持ち込んだものでした。

衣類は彼らがシャワー室という名のガス室に送り込まれるときに脱がされたものや、
囚人服に着替えさせられたときに脱がされたものです。

金歯は、遺体から搾取されたものです。

息子がベットの上で宝物のように眺めていましたね。

ヘス家には、ホロコーストで犠牲になった人々から搾取された財産が、次々と運び込まれてきてた、というわけでした。

『関心領域』でルドルフが建てようとしていたものは何だったかを解説(⚠️実話・ホラー注意)

『関心領域』ではルドルフ・ヘスが、アウシュヴィッツ強制収容所に2炉目となる焼却炉を建設しようと動いていました。

この焼却炉の目的ですが、ナチスが虐殺した遺体を処理する為のものです。

1炉だけでは、焼却がとても間に合わないので、ということですね。

ころさにゃければ良いだけだろう!

「荷」の意味・・・

ルドルフ・ヘスと建設会社との商談では、
遺体のことを「遺体」とは言わず、「荷」と言っていました。

まるでお荷物みたいにゃ…!
許すまじ

『関心領域』の最後にも出てきた『ヘス作戦』では、1日1万人のペースで人が亡くなったそうです。

当然、1炉増えたところで焼却が追い付くはずもなく、露天穴で焼却せざるをえなかったそうです。

ヘス作戦とは▼

43万人のハンガリー系ユダヤ人が収容所に移送され、 56日間で殺された

https://navymule9.sakura.ne.jp/Rudolf_Hoess.html

遺体を焼いたり、遺体から金歯抜いたり、そういうイヤな仕事を任されるのは、ほぼユダヤ人で構成されていたというゾンダーコマンドと呼ばれる部隊でした。
(彼らも口封じの為に3か月~1年くらいでガス室送りとなる)

まとめ

いかがでしたか。

川が突然黒くなったシーンひとつ取っても、
これだけのホラー要素があったのですね。

まるでゲームにしか出てくるわけない悪の大魔王が、
実在してしまったイメージです。

人間はここまでできるのかと、
改めてゾッとさせられるものがありますね。

どこまでも自己中心的で、そして"無関心"だったナチス。

民主主義国家で本当に良かった。

参考文献:
Yahoo!ニュース(https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/eb58fdb3d9e9f889f238ddec1630c1dd3d22cfca
素材のちから(https://www.sozainochikara.jp/post/NCfr4uzT
Odd News(https://www.cnn.co.jp/fringe/35082995.html
ニューヨークタイムズマガジン(https://www.nytimes.com/2023/12/19/magazine/movies-holocaust-zone-of-interest.html?searchResultPosition=2
REETZ TRIP(https://rits-traveler.com/?p=4206

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